この記事では、英語の「分詞構文」の文構造と意味を徹底解説していきますね。
現在分詞(-ing)と過去分詞「-ed」が、文中で副詞的な役割を持つ場合「分詞構文」として用いられます。
主節(完全な文)と分詞の塊(副詞の役割)で分かれており、分詞の塊が主節に対する「具体的な情報」を述べていますよ。
「分詞構文」という文法用語的に「難しいかも?」と感じるかもしれませんが、シンプルな文構造で作られているので、例文を参考とすれば正しく理解できるはず。
英語の分詞構文とは
英語の分詞構文では、「主節(完全な文)」と「分詞の塊(副詞の役割)」がセットで使われますよ。
分詞構文|例文
- Entering the room, I saw Mary.
- 部屋に入ったとき、メアリーを見ました。
上記英文は、「I saw Mary.(完全な文)」と「Entering the room,(副詞の役割)」の組み合わせ。
「Entering the room,(現在分詞の塊)」が、主節(完全文)の外側で副詞の役割を果たしていれば、分詞構文だと判断できるのです。
英語の分詞構文|文構造
分詞構文を理解する際には、現在分詞(-ing)と過去分詞(-ed)を使い分ける必要があるので、以下で例文を紹介しますね。
現在分詞
- 動詞の語尾に「-ing」を付け足した形
- 動詞の意味を持っているけれど、形容詞と副詞の役割
過去分詞
- 動詞の語尾に「-ed」を付け足した形
(不規則変化の場合もあり) - 動詞の意味を持っているけれど、形容詞と副詞の役割
1 英語の分詞構文|現在分詞
分詞構文|現在分詞
- Entering the room, I saw Mary.
- 部屋に入ったとき、メアリーを見ました。
上記英文は「Entering the room,(現在分詞の塊)」が、副詞の役割を果たしているパターン。
「Entering the room,」において、「Entering」が「現在分詞」となっていますよ。
現在分詞(-ing)と過去分詞(-ed)の使い分けは、「主節」の主語と「意味上」の主語(分詞の塊中)を前提に考えましょう。
- 「I saw Mary.」⇛ 主節の主語が「I(私)」
- 「Entering the room, 」⇛ 意味上の主語も「I(私)」
「Entering the room,」の塊では、現在分詞が文頭に来ているので、主語が書かれていませんよね。
分詞構文を用いるときは、主節の主語が分詞の塊中でも主語として成り立つのです。
「Entering the room,」において、部屋に入った人が「I(私)」なので、主節の主語と分詞内の主語が一致しますよ。
それから、「I(私)」が「部屋に入ったのか(能動的)」「部屋に入られたのか(受動的)」を考えると、現在分詞か過去分詞の判断が可能です。
- ○ 「I was entering」⇛ 私が入った(能動的)
- ✕ 「I was entered」⇛ 私が入られた(受動的)
「I(私)」が「部屋に入った」という能動的な意味で日本語訳を取ると、自然な表現として成立しますよね。
能動的な意味であれば、動詞を現在分詞(-ing)に変化させればOKなのです。受動的な意味が適している場合もあるので、後述しますね。
とにかく主語と分詞の関係性を考えることで、現在分詞と過去分詞の使い分けがスムーズにできますよ。
上記例文「Entering the room, I saw Mary.」の構造を、深く掘り下げて考えますね。
「I saw Mary.(主節)」が完全な文として成立しており、「Entering the room,(現在分詞の塊)」が副詞の役割を果たしていますよ。
「I saw Mary.(主節)」が最も伝えたいことであり、「Entering the room,(現在分詞の塊)」は主節に伴う具体的な情報だと考えればOK。
「Entering the room,(副詞の役割)」が、主節の文全体を「修飾(具体化)」しているのだ、と捉えましょう。
英文は「完全な文(5文型内)」+「副詞扱いの箇所(修飾の役割)」の組み合わせで構成されるので、上記の分詞構文は理にかなっているのです。
- 副詞の役割 ⇛ 動詞, 形容詞, 副詞, 文全体を修飾
(名詞以外を修飾可能)
2 英語の分詞構文|過去分詞
分詞構文|過去分詞
- Written in simple English, this book is easy to read.
- 簡単な英語で書かれているので、この本は読みやすいです。
上記英文は、「Written in simple English,(過去分詞の塊)」が副詞の役割を果たしているパターン。
「Written in simple English,(過去分詞の塊)」が副詞の役割、「this book is easy to read.(主節)」が完全な文として成立しているのです。
動詞「write」が不規則に変化した結果、過去分詞「written」が出来上がり。
語尾に「-ed」を付け足すだけではなく、不規則に形が変わる単語があるので注意しましょう。
上記では「this book is easy to read.(主節)」が最も伝えたい内容であり、主節を支えているのが「Written in simple English,」の塊です。
「Written in simple English,(過去分詞の塊)」が副詞の役割を果たしており、主節に対する具体的な情報を追加していますよ。
上記英文では、「Writing in simple English,(現在分詞の塊)」は使うことができません。なぜなら現在分詞は能動的な意味を持っているから。
- 現在分詞(-ing)⇛ 能動的、目的語あり
- 過去分詞(-ed)⇛ 受動的、目的語なし
現在分詞と過去分詞を使い分けるときは、主節の主語と意味上の主語(分詞の塊内)を前提に置いて、主語と分詞の関係性に注目すべき。(能動的 or 受動的)
さらには分詞の直後に目的語があるかどうか?に注目してみるのも良いでしょう。
分詞構文|過去分詞
- Written in simple English, this book is easy to read.
- 簡単な英語で書かれているので、この本は読みやすいです。
「Written in simple English,」における意味上の主語は、主節の主語「this book」です。なので「this book(この本)」と分詞の関係性を見てきましょう。
「this book(この本)」が「書くのか(能動的)」「書かれるのか(受動的)」を考えると、現在分詞と過去分詞の使い分けが理解しやすくなりますよ。
- ✕ 「this book is writing」⇛ この本が書いている(能動的)
- ○ 「this book is written」⇛ この本は書かれている(受動的)
比べてみると分かる通り、「この本は書かれている」という受動的な意味でなければ、日本語訳が成り立ちませんよね。
それゆえに、現在分詞「writing」(能動的な意味)ではなくて、過去分詞「written」(受動的な意味)が理にかなうのです。
さらに「Written in simple English,」の塊内で、過去分詞「Written」の直後に目的語がないことにも目を向けましょう。
他動詞の「write」は直後に「何を書くの?」という目的語が必要。
上記では、「write」を過去分詞「written」に変化させたことによって、目的語が1つ減ったのですよ。
「SVO」で使われる動詞が過去分詞として表されている場合は、目的語が1つ少なくなるのだ、と覚えておきましょう。
現在分詞と過去分詞を見極める上では、日本語の意味から「〜する(能動的)」「〜される(受動的)」を考えてもよいですし、英語の文構造からアプローチして目的語の有無に注目してもOK。
英語の分詞構文|意味
分詞構文は文脈によって、主に時や理由、結果などの意味に分かれます。
意味ごとに使い方を覚えるよりも、接続助詞の「て」を日本語訳に当てはめれば対応可能ですよ。
1 英語の分詞構文|時
分詞構文|時
- Entering the room, I saw Mary.
- 部屋に入ったとき、メアリーを見ました。
上記英文では、「Entering the room,(現在分詞の塊)」が「When(する時)」の意味を表しています。
「Entering the room,」に対しては、「部屋に入ったとき」のように綺麗に訳すことができますが、「て」を語尾に補って対応することも可能ですよ。
「Entering the room, I saw Mary.」→ 部屋に入って、メアリーを見ました、と訳せばOK。
2 英語の分詞構文|理由
分詞構文|理由
- Written in simple English, this book is easy to read.
- 簡単な英語で書かれているので、この本は読みやすいです。
上記英文では、「Written in simple English,(過去分詞の塊)」が主節に対する理由を表していますよ。
理由に適している日本語訳は、「〜ので」「〜だから」ですよね。
けれど上記に対しても、語尾に「て」を補って英文を繋げば、以下のように自然な日本語訳で読み進められます。
「Written in simple English, this book is easy to read.」→ 簡単な英語で書かれていて、この本は読みやすいです。
1つひとつの分詞構文に対して適切な意味を考えてもOKですが、大まかに読むことにおいては、「て」を用いて文の繋がりを把握すれば良いかなと。
3 英語の分詞構文|結果
分詞構文|結果
- A storm hit the town, causing much damage.
- 嵐が町を襲った、その結果大きな被害をもたらした。
上記例文では、「, causing much damage(現在分詞の塊)」が主節に対する結果を表していますよ。
「その結果〜」のように訳してもOKですし、「嵐が町を襲って、大きな被害をもたらした」のように「て」を用いて対応も可能です。
分詞構文の構造は「分詞の塊, 主節」のパターンに加えて、上記のような「主節, 分詞の塊」のパターンがあります。
分詞の塊は文中で副詞の役割を果たすので、文頭に来ても文末に来てもどちらでもOKなのです。
英語の分詞構文|否定
否定の意味を表す分詞構文を、以下で例文を参考にしながら解説しますね。「Not」が置かれる位置に注目しましょう。
分詞構文|否定
- Not knowing what to do, I asked her for help.
- 何をすべきか分からなかったので、私は彼女に助けを求めた。
上記例文では、「Not knowing what to do,(現在分詞の塊)」が主節に対する具体的な情報です。
分詞の塊は副詞の役割を果たすから「具体的な情報」を述べている、主節は「最も伝えたい内容」が書かれている、と捉えましょう。
「Not knowing what to do,」を理由として訳せば自然な日本語になりますが、「何をすべきか分からなくて、彼女に助けを求めた」のように「て」を補ってもOK。
上記では現在分詞「knowing」の直前に、否定語「Not」が置かれていますよね。
分詞構文を否定で表現したいときは、分詞の直前に「Not」を置くだけ。
「Knowing not」はNGであり、「Not knowing」が正しい文構造になるので、語順に注意しましょう。
英語の分詞構文|完了形
完了形を使った分詞構文について、以下で解説しますね。
完了形の分詞構文では、「Having+過去分詞,」が副詞の塊になり、主節より1つ前の時制を表現しますよ。
分詞構文|完了形
- Having studied hard, She passed the exam.
- 一生懸命勉強したので、彼女は試験に合格した。
上記英文では、「Having studied hard,」の塊が副詞の役割をしており、主節「She passed the exam.」を修飾しています。
分詞構文を理解する上で構造理解が1番大切ですが、完了形の分詞構文に対しては時制にも注目しましょう。
「Having studied hard,(一生懸命勉強した)」のは、「She passed the exam.(試験に合格した)」よりも前のことですよね。
- 最初 ⇛ 彼女は一生懸命勉強した
- 後 ⇛ 彼女は試験に合格した
上記のように時間軸を明確にしたい場合に、完了形の分詞構文が用いられますよ。先に起こった方を「Having+過去分詞,」の形にすればOK。
英語の分詞構文|独立分詞構文
分詞構文を用いるときは、主節の主語が分詞内でも主語として成立していましたよね。
これから紹介する「独立分詞構文」では、主節の主語と分詞内の主語が一致しないです。異なる主語が使われるということ。
- 分詞構文 ⇛ 主節と分詞内の主語が一致
- 独立分詞構文 ⇛ 主節と分詞内の主語が異なる
独立分詞構文|例文
- Weather permitting, I will play soccer outside.
- 天気が良ければ、外でサッカーをします。
上記英文では、「I will play soccer outside.(主節)」の主語が「I(私)」ですが、「Weather permitting,(分詞の塊)」の主語は、「Weather(天気)」になっています。
主節と分詞内の主語が異なるため、分詞内の主語「Weather」がそのまま使われますよ。勝手に省略したら意味がわからなくなるので。
分詞構文「Entering the room, I saw Mary.」では、主節と分詞内の主語「I」が一致していたので、分詞内では「I」が省略されていたのですよ。
独立分詞構文は主節と分詞内の主語が異なるだけで、節の役割と修飾に関しては分詞構文と一緒です。
現在分詞の塊「Weather permitting,」は、主節「I will play soccer outside.」を修飾していますよ。
「Weather permitting,」が副詞の役割を果たしており、主節全体を修飾していることを意識するべき。
- 「Weather permitting,」⇛ 具体的な情報
- 「I will play soccer outside.」⇛ 最も伝えたいこと
独立分詞構文では、分詞構文と同様に分詞の塊が副詞(修飾)の役割をしているのだ、と捉えましょう。修飾の役割をしているから、具体的な情報を述べているとわかるのです。
ちなみに「Weather permitting,(天気が許せば)」は条件の意味を表しており、「原因→結果」の因果関係を表現できますよ。
英語の分詞構文|慣用表現
この記事では最後に「分詞構文」の慣用表現を紹介しますね。日常的にフレーズとして使われるので丸暗記してもいいでしょう。
1 英語の分詞構文|All things considered
慣用表現|例文
- All things considered, You should go home.
- 全てを考慮に入れると、あなたは家に帰るべきだ。
「All things considered,」は「全てを考慮に入れると」という意味。
上記は、「All things considered,」が過去分詞の塊(副詞の役割)となっており、主節「You should go home.」を修飾しています。
分詞内の主語が「All things」、主節の主語が「You」なので、それぞれの主語が一致していませんよね。なので独立分詞構文が用いられている、と判断できますよ。
文法の視点から独立分詞構文が使われている英文だと考えることも大切ですが、慣用表現はフレーズとして覚えるのがおすすめ。
2 英語の分詞構文|Speaking of
慣用表現|例文
- Speaking of travel, have you been to Tokyo?
- 旅行と言えば、東京に行ったことがありますか。
上記では「Speaking of travel,」が現在分詞の塊となっており、主節「have you been to Tokyo?」を修飾しています。
「Speaking of 名詞」のフレーズを使うことで、「〜と言えば」という意味を表せますよ。海外ドラマで頻繁に登場する表現なので、日常会話で使いやすいフレーズだと言えます。
3 英語の分詞構文|Generally speaking
慣用表現|例文
- Generally speaking, history repeats itself.
- 一般的に言うと、歴史は繰り返す。
「Generally speaking,」は「一般的に言うと」という意味。
上記では、分詞の塊「Generally speaking,」が主節「history repeats itself.」を修飾していますよ。
- 「Generally speaking,」⇛ 具体的な情報
- 「history repeats itself」⇛ 最も伝えたいこと
分詞の塊が具体的な情報、主節が最も伝えたいことを述べているのだ、と捉えましょう。
「Generally speaking,」が熟語的に用いられるので、「分詞構文」が使われていると思い描きながら、フレーズとして暗記してOKかなと。
「Generally speaking,」に加えて、「Strictly speaking,(厳密に言うと)」や「Frankly speaking,(率直に言うと)」「Broadly speaking,(大まかに言うと)」など類似フレーズも一緒に覚えるべき。
4 英語の分詞構文|Judging from
慣用表現|例文
- Judging from her accent, She is from Japan.
- アクセントから判断すると、彼女は日本出身です。
「Judging from 名詞」は「〜から判断すると」という意味。
上記英文では「Judging from her accent,」の塊が、主節に伴う具体的な情報を表してますよ。主節を修飾しているから、具体的な情報を表しているとわかる。
「Judging from 名詞」が副詞の役割をしており、主節を修飾しているという認識が最も大切です。
まとめ|英語の分詞構文
この記事では、英語の「分詞構文」の文構造と意味を徹底解説してきましたね。独立分詞構文や慣用表現に対する理解も深まったはず。
分詞構文は、主節(完全な文)と「分詞の塊(副詞の役割)」に区別して、文構造や役割、修飾を理解するのが1番大切ですよ。
英語は「完全な文」+「副詞」で作られていることを、全ての英文で意識しましょう。
今回はこれで以上です。
読んで頂きありがとうございました。