この記事では、英語の不定詞の使い方を「名詞的用法」「形容詞的用法」「副詞的用法」「様々な用法」に分けて解説します。
英語の不定詞の使い方を理解するためには、英文の構造を正しく把握する必要があるので、例文を使って徹底的に掘り下げますね。
それでは1つひとつ見ていきましょう。
英語の不定詞とは
英語の不定詞の形では「to+動詞の原形」のように「to」の後ろに動詞の原形をとり、この「to+動詞の原形」の形を「to不定詞」と呼びます。
to不定詞には、「名詞的用法」「形容詞的用法」「副詞的用法」の3つの代表的なパターンがあります。
正しく日本語訳をとるためには、3つのうちどの用法が使われているかを素早く判断する必要があるので、英文の構造理解が最優先。
3つの用法における文構造と意味を例文を参考にしながら、1つひとつ丁寧に解説しますね。
英語の不定詞|3つの用法
「to不定詞」には3つの基本の使い方があります。
「名詞的用法」「形容詞的用法」「副詞的用法」の違いを明らかにしながら、文構造と意味を紹介しますね。
用法の違いによって日本語訳が変わるので、3つの用法を使い分ける必要があるのです。
1 英語の不定詞|名詞的用法
最初に「to不定詞の名詞的用法」について、例文を使って理解を深めていきますね。日本語訳は「〜すること」という意味。
「用法」と聞くと難しく感じますが、「to+動詞の原形」の箇所が名詞の役割をしていると考えましょう。
名詞の役割をするということは、「主語」「補語」「目的語」の位置に「to+動詞の原形」が置かれます。
to不定詞の理解を深めるためには、文型と品詞の知識が核となります。主語と補語、目的語の場合に分けて解説しますね。
1-1 不定詞が主語になる場合
名詞的用法|例文
- To study English is important for me.
- 英語を勉強することは私にとって大切です。
上記英文は「SVC」の第2文型になっており、「To study English」(英語を勉強すること)が文の主語。
「English is important for me.」だけでも表現できますが、さらに幅広い表現をするために、to不定詞を使って動詞の使える幅を広げているのです。
実際には「to不定詞」を主語に持ってくることは少なく、下記のような「仮主語の it」を使って書き換える場合が多いですよ。
名詞的用法|仮主語
- It is important for me to study English.
- 英語を勉強することは私にとって大切です。
「仮主語の it」を使った英文に書き換える理由は、英文の前半に主語・動詞を出すことによって文構造をわかりやすくするため。
1-2 不定詞が補語になる場合
名詞的用法|例文
- My plan is to buy a new car.
- 私の計画は新しい車を買うことです。
上記英文は「SVC」の第2文型になっており、「to buy a new car」が補語の役割をしています。
「私の計画」=「新しい車を買うこと」という関係性であり、車を買うことが「未来の予定」。
一般的に「be to 不定詞」と呼ばれており、未来の予定や運命、義務を表現することが可能ですよ。
「be動詞+to不定詞+動詞の原形」の形になっていれば、未来のことを表現していると捉えましょう。
1-3 不定詞が目的語になる場合
名詞的用法|例文
- I want to play soccer.
- 私はサッカーをしたいです。
上記英文は「SVO」の第3文型になっており、動詞「want」の目的語が「to play soccer」です。
「want」は未来志向の動詞なので「to不定詞」と相性が良く、「to不定詞」は「前置詞 to」と性質が一緒なので「未来」に対する表現が可能。
「これから起きること」は未来のことなので、「want」のような「1回限り」形の動詞と相性が良いのです。
「to不定詞」が目的語になる場合は、一般論ではない特定のことを表しており「実現するかどうかは不確定」となっていますよ。
2 英語の不定詞|形容詞的用法
次に「to不定詞の形容詞的用法」について例文を参考にしながら使い方を紹介しますね。
「to不定詞+動詞の原形」が形容詞の役割を果たすので、形容詞的用法と呼びます。
日本語訳は「〜するための」「〜すべき」という意味。
2-1 不定詞の形容詞的用法|目的
形容詞的用法|例文
- I don’t have time to play soccer.
- 私はサッカーをするための時間がない。
上記英文では「to play soccer」が形容詞の役割をしており、直前の名詞「time」を修飾(具体化)していますよ。
形容詞は名詞を修飾する役割を持っており、名詞を「具体的に表現できる」ということを思い出しましょう。
2-2 不定詞の形容詞的用法|テクニック
ここでは、長文を読み進めていく上でのテクニックも紹介しますね。
長文読解時の考え方
- I don’t have time. ⇛ 私には時間がない。
- to play soccer. ⇛ 具体的に言うと、サッカーをするための時間。
to不定詞の形容詞的用法によって後ろから名詞を修飾している場合では、「具体的に言うと」のような日本語をはさむことによってスムーズな読解に繋がります。
2-3 不定詞の形容詞的用法|義務
形容詞的用法|例文
- There are many places to visit in Tokyo.
- 東京には訪れるべき場所がたくさんあります。
to不定詞の形容詞的用法の日本語訳のパターンは様々であり、文脈によっては「〜すべき」という訳し方も可能。
本質的に考えると to不定詞自体が「未来志向」のイメージを持っているので、「未来の到達や方向性」を考えるのが大切です。
「〜するための」は「目的」、「〜すべき」は「義務」「おすすめ」を表しており、どちらも未来に対する表現として捉えられますね。
3 英語の不定詞|副詞的用法
3つ目に「to不定詞の副詞的的用法」について、例文を参考にしながら使い方を紹介しますね。主には「〜するために(目的)」と「〜して(感情の原因)」の2パターン。
特には「〜するために(目的)」を表すときに使われているのを頻繁に見かけます。結果に対する「目的」を表現することによって、主張の説得力を強められるので。
さらに理解を深めるために、例文を参考としてイメージを膨らましますね。
3-1 不定詞の副詞的用法|目的
副詞的用法|例文
- I study English to pass the exam.
- 私は試験に合格するために、英語を勉強している。
上記英文では「to pass the exam(試験に合格するために)」が、動詞「study(勉強する)」を修飾しています。
「to不定詞」が副詞の役割をして動詞を修飾しているので、「to不定詞の副詞的用法」と呼ばれます。
3-2 不定詞の副詞的用法|修飾
「to不定詞」を学ぶ上で、「修飾」についての理解を深めることが大切です。
形容詞は名詞を修飾
- to不定詞の「形容詞的用法」も同様
副詞は名詞以外を修飾
- ⇛ 動詞と形容詞、副詞を修飾
- to不定詞の「副詞的用法」も同様
通常の修飾の知識と、to不定詞の「形容詞的用法」「副詞的用法」における修飾の知識は同様ですよ。
to不定詞の勉強では「修飾」に対する理解を深めることも大切ですが、文構造や因果関係に対する理解を深めることも必須です。
3-3 不定詞の副詞的用法|文構造
先ほどの例文を参考にして、英文の構造や因果関係を見ていきましょう。
副詞的用法|例文
I study English
S V O
to pass the exam.
M
私は試験に合格するために、英語を勉強している。
上記英文では「SVO」の第3文型で完成しており、「to pass the exam」の箇所は「副詞(M 修飾語)」。
英語は「完全な文」+「副詞扱いの箇所」で構成されているので、正しい構成ですね。
完全な文の外側に「to不定詞」があり、動詞「study」を修飾しているので、「不定詞の副詞的用法」だとわかるのです。
3-4 不定詞の副詞的用法|因果関係
次に英文の「因果関係」を確認していきますね。
副詞的用法|例文
- I study English
⇛ 私は英語を勉強している。(結果)
- to pass the exam.
⇛ 試験に合格するために。(目的)
上記のように、英語は結果ファーストで感情や事実を述べる言語なので、最初に結果が来ることが多いですよ。
「I study English」(私は勉強している)という事実の説得性を高めるために、to不定詞以下で「目的」を表現しています。
「結果→目的」の英文構成にすることで「説得性」を高められるので、to不定詞を使った表現がTOEICや日常会話中で頻出。
さらには「to不定詞」自体が「未来志向」のイメージを持っているので、目的を表すことにおいて理がかなっています。
「英語を勉強している」のは現在ですが、「試験に合格する」のは未来のことなので、未来志向のto不定詞が適しているのです。
3-5 不定詞の副詞的用法|感情の原因
「to不定詞の副詞的用法」を使うことにより「感情の原因」も表せるため、例文を参考にして解説しますね。
副詞的用法|例文
- I am happy to hear that.
- 私はそれを聞いて嬉しいです。
上記英文では、to不定詞「to heat that」が形容詞「happy」を修飾しています。
話し手の「嬉しい」という感情の原因を詳しく説明しており、「目的(〜するために)」のときと同じく副詞的用法です。
文脈によりますが「嬉しい」という感情を表現するときには、その理由を言いたいですよね。
スムーズなコミュニケーションを生み出すためには、「結果→目的」「結果→理由」「結果→具体内容」のような文構成で表現した方が相手に伝わりやすいと思います。
英語の不定詞|動名詞との本質的な違い
ここから「to不定詞」の理解をさらに深めるために、例文を使って「動名詞(doing)」との違いを解説しますね。
「to不定詞」には名詞的用法があり、「動名詞」は名前からわかる通り「名詞」の役割を果たしますよ。
どちらも日本語訳は「〜すること」で「名詞」の役割を果たすため使い分けが必要です。
「to不定詞」には「未来」のニュアンスが含まれており、実現するかどうかは不確定「一般論ではない特定のこと」を表します。
「to不定詞」は「前置詞のto」と原義が一緒なため、「未来への方向性・到達」のイメージ。
一方で「動名詞」には「過去」のニュアンスが含まれており、すでに繰り返していること(反復)や一般的な事柄を表します。
表面上では「〜すること」という同じ日本語訳になりますが、本質的な意味の違いがあるので意識を向けましょう。
本質的な違いがあるということは「to不定詞」が適している場合と「動名詞」が適している場合に分かれますよ。
それぞれの場合と例文を参考にして理解を深めていきますね。
1 英語の to不定詞|本質
to不定詞|例文
- I want to play soccer.
- 私はサッカーをしたいです。
上記英文では「want」が「〜を望む」「〜したいと思う」という意味なので、未来のニュアンスを持っている「to不定詞」との相性が抜群ですよ。
「want」が単発系の動詞であり未来のことについて述べるため、未来志向の「to不定詞」が適しているのです。
2 英語の動名詞|本質
動名詞|例文
- My hobby is playing soccer.
- 私の趣味はサッカーをすることです。
上記英文での「hobby(趣味)」のイメージを膨らませてみましょう。
「趣味」は日々楽しみとして継続していることなので、「繰り返し(反復)」のニュアンスを持っている「動名詞」との相性がバッチリ。
このように状況をイメージしながら「to 不定詞」と「動名詞」の違いを考えてみると、本質の理解が進みますよ。
英語の不定詞|様々な用法
この記事では、to不定詞の「名詞的用法」「形容詞的用法」「副詞的用法」の3つをメインとして解説してきました。
これら3つの用法の理解が最優先ですが、他にも発展的な様々な用法があるため、例文を用いて1つひとつ丁寧に紹介しますね。
1 否定の不定詞
否定の不定詞|例文
- I decided not to meet you.
- 私はあなたに会わないことを決めました。
「decide」がto不定詞と一緒に使える動詞であり、to不定詞を「否定」として使いたいときには直前に「not」を置けば完成です。
英文の構造理解が最も大切なので、「not」を置く位置を正しく決定しましょう。
2 原形不定詞
実は英語の不定詞には、これまで紹介してきた「to不定詞」と「原形不定詞」と呼ばれるものがあります。
「原形不定詞」=「動詞の原形」という理解でOK。
使役動詞と知覚動詞のパターンがあるので、英文の構造を確認しておきましょう。
2-1 使役動詞|原形不定詞
使役動詞|例文
- My mother let me go to the party.
- 母は私がパーティーに行くことを許した。
上記英文は「let(使役動詞)+me(目的語)+go(原形不定詞)」の形。
「let」「make」「have」(〜させる)の使役動詞では、上記英文の形で「原形不定詞」が使われます。
2-2 知覚動詞|原形不定詞
知覚動詞|例文
- I saw her play soccer.
- 私は彼女がサッカーをしているのを見ました。
上記英文は「saw(知覚動詞)+her(目的語)+play(原形不定詞)」の形。
目的語の直後に「原形不定詞(動詞の原形)」が置かれており、「目的語が〜するのを見る/聞く/感じる」など、知覚(感覚)の意味となります。
使役動詞や知覚動詞を使うときには、原形不定詞(動詞の原形)が用いられると覚えましょう。
3 使役構文|SVO to do
SVO to do|例文
- I would like you to play soccer.
- あなたにサッカーをしてほしいと思います。
上記の英文は「SVO to do」の使役構文。
使役動詞では「原形不定詞」が使われていましたが、「SVO to do(使役構文)」では目的語の直後に「to不定詞」をとります。
使役は「〜させる、〜してもらう」という「要求」や「お願い」のニュアンス。
相手に要求やお願いをするとき、その相手が実行するかどうかは不確定なので、to不定詞が適しているのです。
4 疑問詞+to不定詞
疑問詞+to不定詞|例文
- I know how to study English.
- 私は英語の勉強方法を知っている。
上記英文では「how+to不定詞」の組み合わせになっており「〜の仕方」という意味。
「疑問詞+to不定詞」の形だと「〜すべきか」という意味で、名詞のかたまりを作ります。
「how to」の他にも、「what to」(何を〜すべきか)「where to」(どこで〜すべきか)「when to」(いつ〜すべきか)「which to」(どちらを〜すべきか)「whether to」(〜すべきかどうか)の形で表現が可能。
5 形容詞+to不定詞
形容詞+to不定詞|例文
- English is difficult to study.
- 英語を勉強するのは難しいです。
上記英文では「to study」(副詞的用法)が、形容詞の「difficult」を修飾していますよ。
「difficult」(難しい)の具体的情報を「to study(副詞扱いの箇所)」で述べているのです。
6 too+to不定詞
too+to不定詞|例文
- English is too difficult to understand.
- 英語を理解するのは難しすぎます。
上記英文は「too+to不定詞」の組み合わせで、「〜するのは〜すぎる」「〜すぎて〜できない」の意味。
「英語が難しすぎて理解できない」とも訳せますが、否定表現として考えると少し複雑になりますよ。
なので形容詞の「difficult」を具体化するために、「to understand」(副詞)が使われていると考えるべき。
7 完了形の不定詞
完了不定詞|例文
- My mother seems to have caught a cold.
- 母が風邪をひいたように思われます。
上記の英文では「to不定詞+have+過去分詞」の形となっており、to不定詞と完了形が組み合わさっていますね。
述語動詞「seems」が現在形であり、それよりも過去のことを表現したいときに「完了形の不定詞」を使います。
8 in order to do、so as to do
目的|例文
- I study English to pass the exam.
- I study English in order to pass the exam.
- I study English so as to do pass the exam.
⇛ 私は試験に合格するために、英語を勉強している。
上記英文は全て「目的」の意味を表す「to不定詞の副詞的用法」ですが、目的をさらに強調したいときには「in order to do」「so as to do」を使って表現可能です。
「in order to do」「so as to do」が、目的を表現するときの定型表現だと考えてもいいですね。
まとめ|英語の不定詞
この記事では、英語の不定詞の使い方を「名詞的用法」「形容詞的用法」「副詞的用法」「様々な用法」に分けて、例文を使って徹底的に解説してきました。
to不定詞の文構造や意味を正しくすれば、英語の表現の幅が広がり本質的な英語力が向上するので、用法別に1つひとつ積み上げましょう。
今回はこれで以上です。
読んで頂きありがとうございました。